ajitaさんの推薦本
つい先日の名古屋高裁の判決について、
智恵あればすぐ観えるのでしょうが、
凡人の私は、しばらく考えてしまいました。
どんなことでも真実を見るのは難しい。
以下に紹介します。

- 作者: 坂本敏夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 新書
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坂本敏夫『死刑と無期懲役』(ちくま新書)著者は元刑務官。決してうまい書き手ではないが、第一章「死刑はこうして執行される」からぐいぐい読ませる。事実の迫力ってのはすごいものだ。後半は冤罪問題を扱っており、小沢事件で多少なりとも検察やマスコミに疑問を抱いた人は必読。
第九章・冤罪はなぜ起こるか、で2002年の名古屋刑務所保護房死傷事件を検察特捜部とマスコミと政治家(当時の野党・民主党)が各々の思惑で作り上げた冤罪として取り上げている。簡潔な描写だが、司法の現場のおぞましい実態に慄然とさせられた。
刑務官と検察官の懇親会で、検察官たちは「悪はどんなことをしても徹底的に糾弾する。われわれの手にかかれば白でも黒にできる」と公言していたという。白を黒にするような行為を『悪』というような気がするんだが……。
裁判官は調書に書かれた自白とそれを補強する証拠を何より重視する。弁護側がどれだけ科学的な反証をしても採用しない。検察に迎合しているにせよ、典型的な人文系頭に陥っている。裁判官こそ、本来は理系頭であるべき、と著者。
第一章「死刑はこうして執行される」と、第十一章「死刑台からのメッセージ」は独立した短編ノンフィクションとして読んでも鳥肌がたつ出来。無期懲役囚の処遇や、終身刑導入の問題など読みどころは多々あるけど、この二編だけでも読んだ価値はあった。
第三章・死刑執行というメッセージより。永山則夫の執行時の抵抗は激しく、遺体はまるで撲殺されたようなひどい状態だった。そのままでは弁護士に引き渡せないとして、わざわざ火葬したそうだ。これも知らなかった。
同書では、教誨師(仏教・キリスト教)の活動についても触れている。戦後の「政教分離」で受刑者の宗教的ケアはかなり後退した。死刑囚のケアをする教誨師は「無報酬のまったくのボランティアとしては、他に類をみない最高に重い仕事といえる」と記す。
と、こんな具合だけど、結論。坂本敏夫『死刑と無期懲役』(ちくま新書)だけは読んでおいた方がいい。おススメします。

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