#jtba「怒らないことは誰のため?」
Ubhinnamatthaṃ carati,
Attano ca parassa ca;
Paraṃ saṅkupitaṃ ñatvā,
Yo sato upasammati.
『怒っている人に対して、逆に怒らない人は、
自分と他人という両方に、有意義な行為をしているのです。』
(相応部経典,有偈篇,第11 サッカ相応,第5 善語勝利経)
仏陀の教えは、完全なる幸福の境地を説くものです。それだけではなく、日常生活にもおおいに役に立つものなのです。しかし、理性に基づいて理解しなくて はならないのです。聞法だけでは実行する気にはなりません。時々、表面的に見ると違うと思える言葉もあるのです。いくつかの例で考えてみましょう。
「怒りに打ち勝つためには、怒らないことだ」、これだけでは何の意味かわからないですね。人が怒って自分に攻撃するならば、自分も怒って逆襲すれば超簡 単で早いのではないかと思う。怒りを怒りで返すということは、確かに超簡単です。どんな無知な人にもできることです。人間に限らず、動物も同じことをやっ ているのです。世界で正しいと思われているのは、インテリ的な生き方ではなく、脳も発達していない動物たちがやっている行為なのです。
無知な人、感情に操られている人は、気に入らない出来事が起きたら必ず怒る。それから相手に攻撃を仕掛けるのです。相手も「何だこいつは」と思って、怒 りを返します。自分が怒っても、それに対する相手の怒りが嫌なので、先に怒った人がさらに怒るのです。このように、互いに怒り合いの合戦をするのです。怒 りが燃えるだけで、消えることはありません。
理性のある人は、感情的な怒りに怒り返すのではなく、怒りとは何かと観察するのです。怒りは炎のようなもので、怒った人も怒りの対象も、破壊する感情だ と発見します。相手がいくら悪くても、自分だけ怒らないで落ち着いていれば、自分の心が相手の怒りの炎で燃えないことと、相手の怒りも自分から怒りという 燃料を与えないから、そのうち怒りの炎が燃え尽きるのだと理解するのです。
では、人が自分に対して勝手に怒ったり、自分を侮辱したり、攻撃したり、非難したりするのを黙っていると損ばかりではないか?相手がやりたい放題ではないか?と思われるでしょう。
実は、そうではありません。怒った人は、その時点で燃えています。自分の心もいくらか破壊しています。ですから、怒りを受けた自分が怒り返さなかったな らば、何の損害も受けていないのです。相手に対しても、怒りの燃料を供給していないから、相手の心も最小限の害で済みます。ですから、怒りに対して怒り返 さないことで、自分の心が成長するだけではなく、他人に対しても善行為をしていることになるのです。
●イラスト:田辺敏宏
▼参考テキスト
「怒りに慈しみで勝つ~怒る人は多重に損をする~」
http://www.j-theravada.net/howa/howa129.html
【57】 口は機関銃です
http://www.j-theravada.net/qa/gimon57.html
「言葉は核燃料か ~感情混じりの言葉は核廃棄物です~」
http://www.j-theravada.net/howa/howa55.html
「口から漏れる放射能~言葉は注意して使用する道具に過ぎない~」
http://www.j-theravada.net/howa/howa150.html
~生きとし生けるものが幸せでありますように~
Ubhinnamatthaṃ carati,
Attano ca parassa ca;
Paraṃ saṅkupitaṃ ñatvā,
Yo sato upasammati.
『怒っている人に対して、逆に怒らない人は、
自分と他人という両方に、有意義な行為をしているのです。』
(相応部経典,有偈篇,第11 サッカ相応,第5 善語勝利経)
仏陀の教えは、完全なる幸福の境地を説くものです。それだけではなく、日常生活にもおおいに役に立つものなのです。しかし、理性に基づいて理解しなくて はならないのです。聞法だけでは実行する気にはなりません。時々、表面的に見ると違うと思える言葉もあるのです。いくつかの例で考えてみましょう。
「怒りに打ち勝つためには、怒らないことだ」、これだけでは何の意味かわからないですね。人が怒って自分に攻撃するならば、自分も怒って逆襲すれば超簡 単で早いのではないかと思う。怒りを怒りで返すということは、確かに超簡単です。どんな無知な人にもできることです。人間に限らず、動物も同じことをやっ ているのです。世界で正しいと思われているのは、インテリ的な生き方ではなく、脳も発達していない動物たちがやっている行為なのです。
無知な人、感情に操られている人は、気に入らない出来事が起きたら必ず怒る。それから相手に攻撃を仕掛けるのです。相手も「何だこいつは」と思って、怒 りを返します。自分が怒っても、それに対する相手の怒りが嫌なので、先に怒った人がさらに怒るのです。このように、互いに怒り合いの合戦をするのです。怒 りが燃えるだけで、消えることはありません。
理性のある人は、感情的な怒りに怒り返すのではなく、怒りとは何かと観察するのです。怒りは炎のようなもので、怒った人も怒りの対象も、破壊する感情だ と発見します。相手がいくら悪くても、自分だけ怒らないで落ち着いていれば、自分の心が相手の怒りの炎で燃えないことと、相手の怒りも自分から怒りという 燃料を与えないから、そのうち怒りの炎が燃え尽きるのだと理解するのです。
では、人が自分に対して勝手に怒ったり、自分を侮辱したり、攻撃したり、非難したりするのを黙っていると損ばかりではないか?相手がやりたい放題ではないか?と思われるでしょう。
実は、そうではありません。怒った人は、その時点で燃えています。自分の心もいくらか破壊しています。ですから、怒りを受けた自分が怒り返さなかったな らば、何の損害も受けていないのです。相手に対しても、怒りの燃料を供給していないから、相手の心も最小限の害で済みます。ですから、怒りに対して怒り返 さないことで、自分の心が成長するだけではなく、他人に対しても善行為をしていることになるのです。
●イラスト:田辺敏宏
▼参考テキスト
「怒りに慈しみで勝つ~怒る人は多重に損をする~」
http://www.j-theravada.net/howa/howa129.html
【57】 口は機関銃です
http://www.j-theravada.net/qa/gimon57.html
「言葉は核燃料か ~感情混じりの言葉は核廃棄物です~」
http://www.j-theravada.net/howa/howa55.html
「口から漏れる放射能~言葉は注意して使用する道具に過ぎない~」
http://www.j-theravada.net/howa/howa150.html
~生きとし生けるものが幸せでありますように~